生成AIに関心はあっても、「何を任せればよいのか」が分からず、使い始めていない方は多いのではないでしょうか。

結論から言えば、最初に任せるのは資料を読み、情報を整理し、第一案をつくる仕事です。生成AIの価値は、人の仕事をすべて置き換えることではありません。人が時間をかけていた作業を手早く進めてもらい、人が考えることに時間を使えるようになることにあります。

数時間かかっていた作業が、数十分で初版になった

私自身、提案の準備で生成AIを使ったときに、この変化を強く感じました。

提案の準備では、資料を読み込むだけでも時間がかかります。これまでは次の作業を、人が順番に進めていました。

  • 条件や要件を読み取って要約する
  • 相手に確認すべき質問事項を洗い出す
  • 必要な作業を一覧にする
  • 進め方や体制の案を考える
  • 採算を検討する

こうした作業の草案を、資料をもとに生成AIが作成してくれるようになりました。これまで数時間かかっていた作業が、数十分で初版まで進むようになったのです。

変わったのは速さだけではありません。情報の整理に使っていた時間が減り、案を出すことやブラッシュアップに集中できるようになりました。

これまでは情報整理に多くの時間を使っていたが、生成AIの活用後は案出しやブラッシュアップに時間を使えることを示す図

向いているのは、情報を扱う仕事

最初に任せる仕事は、次のような性質を持つものがおすすめです。

向いている仕事 例
長い資料を読む 資料の要約、条件の整理
情報を抜き出す 確認事項や作業項目の洗い出し
形に整える 社内文書、報告書、提案の構成案
たたき台をつくる 計画の第一案、メールの下書き

一方で、任せきりにしないほうがよい仕事もあります。

人が中心になる仕事 理由
最終的な判断 契約や金額の責任は人が負う
目指す姿を決める ゴールは人が示す必要がある
見た目を仕上げる 資料のデザインは人の調整が必要なことが多い

私の場合も、Claude Code を使って提案資料を作成したとき、見た目に関わる部分は弱いと感じました。内容の整理は任せて、見せ方は人が仕上げるという分担が現実的です。資料の見た目まで任せたい場合は、デザインに強みのある生成AIを活用してみるのも手だと考えています。

人の役割は「ゴールを持って伴走する」こと

生成AIの出力を使うとき、「誤りを探す」ことだけが人の仕事だと考える必要はありません。

私の実感では、草案に誤りが多かったわけではありません。大切なのは、自分の中でゴールを持ち、そのゴールに向けて生成AIと伴走しながら補正していくことでした。

  • 誰に向けた成果物か
  • 何を実現したいのか
  • 判断の基準は何か

これらは人が示します。生成AIが出した案を読み、方向を修正し、足りない視点を加えていくと、短い時間で成果物の質を高められます。

人がゴールを示し、生成AIが整理して第一案をつくり、人が修正を重ねて仕上げる役割分担の図

もちろん、生成AIの出力に誤りが含まれる可能性はあります。社外に出す内容や判断の根拠は、人が必ず確認してください。

使ってよい情報を先に決める

生成AIに渡す情報は、使い始める前に決めておきます。

私の場合は、公開されている資料と、社内に蓄積している過去の情報を使いました。ただし、過去の受託案件の情報は含めませんでした。

判断に迷うときは、次の観点で確認します。

  • 公開されている情報か
  • 個人情報や顧客情報が含まれていないか
  • 取引先との守秘義務に触れないか
  • 利用するサービスの規約やデータの扱いは、社内の基準に合っているか

便利だからといって、手元の資料をそのまま入力しないことが大切です。

慣れてきたら、作り方をルールにする

使い慣れてきたら、毎回の指示を減らす工夫も効果的です。

私は、成果物の作り方をあらかじめルールとして書き出し、同じ手順で動くようにしていました。例えば次のような内容です。

  • 成果物の形式と構成
  • 作業の手順
  • 確認する項目

ルールを整えておくと、毎回同じ説明をしなくて済み、品質のばらつきも抑えられます。最初から完璧にする必要はありません。使いながら少しずつ育てていけば十分です。

最初の一歩は、自分の仕事の第一案から

これから使い始めるなら、まずは自分がつくる成果物の第一案を、生成AIにつくってもらうことから始めてみてください。

  1. 今週つくる予定の文書を一つ選ぶ
  2. 目的、読み手、入れたい内容を伝える
  3. 出てきた第一案を読み、気になる点を直してもらう
  4. 仕上げは自分で行う

自分の仕事なら、良し悪しをすぐに判断できます。一度でも「考える時間が増えた」と感じられれば、次に任せる仕事が見えてくるはずです。

まとめ

生成AIに最初に任せるのは、情報整理と第一案づくりです。人はゴールを示し、案を磨くことに集中する。この分担こそが、生成AIを業務に活かす第一歩です。