DXに取り組みたいが、社内にIT担当者がいない。何から始めればよいのか、誰に相談すればよいのかが分からない。小規模な会社では、こうした悩みをよく耳にします。

専門の部署や大きなシステムは、DXの必須条件ではありません。社内の推進役を一人決め、身近な業務の困りごとから小さく始めることで、IT担当者がいない会社でも進められます。

DXを難しく考えすぎない

DXというと大規模なシステムの導入を想像しがちですが、最初の目標は、もっと身近なもので構いません。

  • 紙の申請をなくす
  • 手作業の集計を減らす
  • 必要な情報をすぐ探せるようにする
  • 外出先からでも業務を進められるようにする

こうした改善の積み重ねが、仕事の進め方を変える土台になります。

社内の推進役を決める

IT担当者がいなくても、社内の取りまとめ役は必要です。求められるのは、高度なITの知識よりも次のことです。

  • 現場の業務と困りごとを理解している
  • 関係者に話を聞きに行ける
  • 決まったことを最後まで進められる

他の業務と兼任する場合は、その時間を確保できるよう、経営者が業務量を調整します。「手の空いた人が担当する」形では、日々の業務に押されて止まってしまいがちです。

経営者の役割は、目的を示し、判断することです。何のために取り組むのかを伝え、必要なときに費用や優先順位を決めます。

最初のテーマの選び方

最初のテーマには、次の条件を満たすものを選びます。

条件 理由
困っている人がいる 協力を得やすく、効果を実感しやすい
範囲が小さい 短い期間で結果を確認できる
効果を説明できる 時間や手間の変化を比べられる
失敗しても影響が小さい 試しながら進められる

いきなり基幹業務を変えるのではなく、一つの部署や一つの業務から始めます。小さな成功があると、次の取り組みへの理解も得やすくなります。

進め方の流れ

  1. 困っている業務を聞く
  2. 今の業務の流れを書き出す
  3. 目標を決める
  4. 小さく試す
  5. 効果を確認する
  6. 定着させて、他の業務へ広げる

困りごとを聞き、業務の流れを書き出し、目標を決め、小さく試して効果を確認し、定着させて次の業務へ広げる流れの図

目標は「月末の集計にかかる時間を減らす」のように、変化を確認できる形にします。

すでに契約しているサービスに、使っていない機能が残っていることもあります。新しいツールを探す前に、今あるものを確認してみましょう。

外部の専門家は「任せきり」にしない

社内に知識がない部分は、外部の専門家の力を借りるのが現実的です。ただし、すべてを任せきりにすると、社内に判断できる人がいなくなり、依頼先への依存が強くなります。

外部の専門家に相談するときは、次の点を意識します。

  • 解決したい困りごとを、自社の言葉で伝える
  • 分からない用語は、その場で説明を求める
  • 製品の導入だけでなく、業務の整理から相談できるかを確認する
  • 導入後の運用や相談の窓口を確認する
  • 手順や設定の情報を自社で持てるようにする

目的、業務の優先順位、最終的な判断は、社内で持つことが大切です。

経営者が目的と優先順位を決め、社内の推進役が取り組みを進め、外部の専門家が支援する役割分担の図

まとめ

IT担当者がいなくても、DXは小さく始められます。社内の推進役を決め、身近な困りごとを一つ選び、必要な部分で外部の力を借りながら、試して確認することを続けていきましょう。