システムからExcelへ転記する、複数のファイルを月末に集計する。こうした作業は手順が決まっていることが多く、自動化の効果が出やすい作業です。

ただし、今の作業をそのまま自動化すると、例外が起きるたびに処理が止まり、かえって手間が増えることもあります。自動化を始める前に、作業の入口と出口、例外、確認の方法を見ておくことが大切です。

そもそも転記が必要かを確認する

最初に確認したいのは、その作業をなくせないかどうかです。

  • 同じ情報を複数の場所で管理していないか
  • 使われていない集計や帳票はないか
  • 今のシステムの機能で出力できないか
  • 入力先を一つにまとめられないか

転記そのものをなくせれば、自動化の仕組みを作って保守する必要もなくなります。

作業をなくせるかを確認し、データの形を揃え、例外を分け、最後に自動化する順番を示す図

自動化の前に確認する5つのポイント

1. 入力データの形は揃っているか

自動化で最も問題になりやすいのが、入力データのばらつきです。

  • 日付の形式が人によって違う
  • 取引先名の表記が揃っていない
  • Excelのセルが結合されている
  • ファイル名や保存先が毎回変わる

データの形が揃っていないと、処理が止まるか、誤った結果になります。入力の形式を揃えるだけで、作業が大きく楽になることもあります。

2. 例外はどのくらいあるか

作業の中に、人が判断している例外がないかを確認します。

例えば「この取引先だけ締め日が違う」といった例外が担当者の頭の中にしかないと、自動化した処理に反映されません。例外の種類と頻度を書き出し、自動で処理するものと、人が対応するものを分けます。

3. 作業量は自動化に見合うか

自動化には、作る手間と保守の手間がかかります。次の点を大まかに比べてみます。

確認すること 内容
頻度 毎日、毎週、毎月など
1回の時間 準備と確認を含めた作業時間
間違いの影響 誤りが起きたときの修正の手間や業務影響
変更の頻度 帳票や画面が変わる頻度

時間があまり減らない作業でも、間違いの影響が大きければ、自動化する価値があります。逆に、年に1回しか発生せず、形式も毎回変わる作業は、手作業のほうが合理的な場合もあります。

4. 結果をどう確認するか

自動化すると、処理の途中が見えにくくなります。誤った結果に気づける仕組みが必要です。

  • 件数や合計金額が元のデータと一致するかを確認する
  • エラーが起きたときに担当者へ通知する
  • 処理の記録を残す

形式を揃えたデータをツールで処理し、例外への対応と結果の確認は人が行う流れの図

人が確認する工程も残しておくと、安心して運用できます。

5. 誰が保守するか

システムの画面や帳票が変わると、自動化の仕組みも直す必要があります。作った人しか直せない状態では、新たな属人化を生むことになります。

仕組みの内容と修正方法を文書に残し、止まったときに手作業へ戻す手順も用意しておきます。

自動化の手段は作業に合わせて選ぶ

自動化の手段は、接続先のシステムや扱うデータに合わせて選びます。

手段 向いている作業
Excelの機能 Excelの中で完結する集計や整形
サービス間の連携機能 クラウドサービス同士のデータ受け渡し
RPA 画面の操作でしか扱えないシステムの作業
スクリプト 大量データの処理、柔軟な変換や連携

Excelで完結するならExcelの機能、クラウドサービス同士なら連携機能、APIやデータ出力があればスクリプト、画面操作しかなければRPAを選ぶ判断の図

連携機能やAPIが用意されているシステムでは、画面の操作を自動化するよりも、変更の影響を受けにくい場合があります。

まとめ

転記や集計を自動化するときは、まず作業をなくせないかを確認し、データの形、例外、作業量、確認方法、保守の担当を見ておきましょう。小さな作業から始めて、確実に動くことを確認しながら広げていくことをおすすめします。