業務を楽にしたいと考えたとき、まず製品の比較から始めたくなるかもしれません。しかし、その前にやるべきことがあります。

業務フローをつくり、ツールで自動化できる作業と、人の手に頼らざるを得ない作業を分けることです。この整理ができていれば、ツールに何を任せたいのかが明確になり、必要なツールも選びやすくなります。

ツールから選ぶと起こりやすいこと

ツールを先に決めると、例えば次のようなことが起こりがちです。

  • 顧客管理ツールを導入したが、入力に手間がかかり、Excelでの管理に戻った
  • 申請を電子化したが、紙での確認が残り、二重管理になった
  • 多機能なツールを契約したが、使っているのは一部の機能だけだった
  • 作業の一部を自動化したが、前後の手作業が残り、思ったほど時間が減らなかった

いずれも、ツールの性能だけが原因とは限りません。業務全体の中で、どの作業をツールに任せるのかが決まっていないと、こうした状況が起こりやすくなります。

ツールから選ぶと導入後に業務と合わなくなりやすく、業務から考えると任せる作業に合うツールを選べることを比べた図

業務フローをつくると、作業の漏れが減る

業務フローの効果は、ツールを選びやすくなることだけではありません。

私自身、業務フローを作成して業務を整理したことで、作業の漏れが少なくなりました。

手順が人の頭の中にあると、抜けている作業に気づきにくいものです。業務フローとして書き出すと、誰が何をして、どこで次の人に渡すのかが見えるようになり、確認すべき作業も分かりやすくなります。

業務を整理する3つのステップ

1. 業務フローをつくる

対象の業務を、始まりから終わりまで順番に書き出します。立派な図である必要はありません。次の内容が分かれば十分です。

  • 何をきっかけに始まるか
  • 誰が、どの作業を行うか
  • どの資料やシステムを使うか
  • 次に誰へ渡すか

2. 自動化できる作業と、人の作業に分ける

書き出した作業を一つずつ見て、ツールに任せられるかどうかを判断します。

分類 作業の特徴
自動化しやすい作業 手順が毎回同じ、情報がデータになっている
人の手に頼る作業 状況に応じて判断が変わる、相手との調整や承認が必要

例えば請求業務なら、次のように分けられます。

請求業務の例。請求内容の確認と金額の承認は人が行い、請求書の作成、送付、入金の照合は自動化を検討する図

実際にどこまで自動化できるかは、業務の内容や使っているシステムによって変わります。大切なのは、すべてを自動化しようとせず、人の手に残す作業も決めておくことです。

人の手に残す作業は、手順や確認項目をはっきりさせておくと、漏れを防ぎやすくなります。

3. 自動化する作業に合うツールを選ぶ

ここで初めて、ツールを比較します。

自動化したい作業が決まっていれば、機能の多さではなく、その作業を任せられるかで判断できます。今使っているシステムの設定を変えるだけで足りる場合や、手順の見直しで解決できる場合もあるので、新しいツールが必要かどうかもあわせて確認してください。

最初の一歩は、一つの業務から

会社全体の業務を一度に整理する必要はありません。次のような業務を一つ選び、業務フローを書くことから始めてみてください。

  • 毎月繰り返している業務
  • 特定の人しか手順が分からない業務
  • 作業の漏れや差し戻しが起きやすい業務

まとめ

業務改善の出発点は、ツールの比較ではなく業務フローです。自動化できる作業と人の手に頼る作業を分ければ、ツールに任せることが明確になり、作業の漏れも防ぎやすくなります。