「この作業はあの人しか分からない」という業務は、どの会社にもあるものです。普段は問題なく回っていても、担当者が休んだときや退職するときに、業務が止まるおそれがあります。

標準化の目的は、全員を同じやり方に揃えることではありません。その人がいなくても、他の人が業務を実行できる状態をつくることです。

標準化の前は担当者が休むと業務が止まり、標準化の後は手順書をもとに他の人も実行できることを比べた図

属人化が起きやすい業務

次のような業務は、属人化が進みやすい傾向があります。

  • 長年同じ担当者が続けている
  • 手順が文書になっていない
  • 特定の人が作ったExcelのマクロや計算式に頼っている
  • 例外的な対応が多く、判断基準が言葉になっていない
  • 取引先との調整を一人で行っている

担当者の努力や工夫によって支えられてきた業務も少なくありません。属人化を個人の問題として扱わず、仕組みの問題として取り組みます。

標準化の4ステップ

対象の業務を選び、手順を書き出し、別の人が実行して直し、更新する仕組みをつくる4つのステップの図

1. 対象の業務を選ぶ

すべての業務を一度に標準化するのは現実的ではありません。次の2つの観点で、優先する業務を選びます。

  • 止まったときの影響が大きいか
  • 分かる人が一人だけになっていないか

毎月の締め処理や請求など、期限が決まっている業務は、優先度が高くなりやすい業務です。

2. 手順を書き出す

担当者に実際の作業を見せてもらいながら、手順を書き出します。担当者だけに書いてもらうよりも、別の人が聞きながら書くほうが、当たり前になっていて説明されない手順に気づきやすくなります。

書き出す内容は次のとおりです。

項目 内容
開始の条件 いつ、何をきっかけに始めるか
手順 使う資料、画面、入力する内容
判断の基準 どの場合に、どう判断するか
例外への対応 よくある例外と、そのときの連絡先
完了の条件 何ができていれば終わりか

特に大切なのが、判断の基準です。「いつもの感覚で」となっている部分を、質問しながら言葉にしていきます。

3. 別の人が実行してみる

手順書ができたら、担当者以外の人が手順書だけを見て実行します。途中で止まった箇所が、手順書に足りない部分です。

書いた本人は問題なく読めても、他の人には伝わらないことがあります。実際に試して直すことで、使える手順書になります。

4. 更新する仕組みをつくる

手順書は、作って終わりではありません。業務が変われば内容も古くなります。

  • 手順書の置き場所を一つに決める
  • 更新する担当者を決める
  • 手順を変えたら、その場で手順書も直す

詳しく書きすぎない

最初から完璧な手順書を目指すと、作成に時間がかかり、更新も続きません。画面の録画やスクリーンショットを使うなど、作りやすい方法で十分です。

まず1回の業務を他の人が完了できる内容を目標にして、足りない部分を少しずつ足していきましょう。

標準化は自動化の準備にもなる

手順と判断基準が言葉になると、定型の作業と人が判断する作業を区別しやすくなります。これは、ツールでの自動化を検討するときの土台にもなります。

手順と判断基準を書き出すと、定型の作業は自動化を検討し、判断が必要な作業は人が担当するように分けられることを示す図

また、担当者がこれまでの作業から離れて、別の仕事に時間を使えるようになることも標準化の効果です。担当者の仕事を奪うものではなく、仕事を広げるための取り組みとして伝えることが大切です。

まとめ

属人化を解消する第一歩は、影響の大きい業務を一つ選び、手順と判断の基準を書き出すことです。別の人が実行できることを確かめながら、無理なく続けられる形で進めましょう。