在庫が減ってきたら、担当者が経験で発注の時期と数を決める。小規模な事業では、よくある運用です。ただし、担当者が不在のときに判断できず、在庫切れや過剰在庫の原因にもなります。

発注の判断は、計算で支えることができます。結論から言うと、発注点を式で求め、発注中の数を含めて判定し、確定は人が行うことがポイントです。

この記事では、発注点と発注数の計算方法と、自動化するときの注意点を解説します。内容は、在庫管理を題材にしたデモを作ったときに整理した考え方と、一般的な注意点をまとめたものです。

発注点の計算方法

発注点は、「在庫がこの数まで減ったら発注する」という目安です。注文してから届くまでの間に売れる数と、予備の数を足して求めます。

発注点 = 1日の平均出庫数 × リードタイム(日) + 安全在庫

リードタイムは、発注してから入荷するまでの日数です。安全在庫は、売れ行きの変動や入荷の遅れに備える予備の数です。

例として、1日の平均出庫数が2.75個、リードタイムが7日、安全在庫が10個の商品で計算します。数字は説明のための例です。

発注点 = 2.75 × 7 + 10 = 29.25 → 切り上げて30個

在庫が30個まで減ったら、発注を検討します。

発注数の計算方法

発注数は、次の入荷までに必要な数から、手元と発注中の数を引いて求めます。

発注数 = 1日の平均出庫数 × 目標日数 + 安全在庫 − 発注可能在庫
発注可能在庫 = 現在庫 + 発注中で未入荷の数

同じ例で、目標日数が30日、現在庫が23個、発注中が0個、最小発注数が10個単位なら、次のようになります。

発注数 = 2.75 × 30 + 10 − 23 = 69.5 → 10個単位で切り上げて70個

現在庫に発注中の数を足した発注可能在庫が発注点以下なら発注案を作り、人が数量を確認して確定する判断の図

自動化するときの4つの注意点

1. 発注中の数を必ず含める

現在庫だけで判定すると、入荷を待っている間も発注の提案が出続け、二重の発注につながります。判定には、現在庫に発注中の数を足した発注可能在庫を使います。

2. 入出庫の記録を整える

計算は、入出庫の記録が正しいことが前提です。

  • 商品コードの間違いや、未登録の商品
  • 入庫と出庫の区分の違い
  • 記録されていない返品や廃棄

記録が不正確なら、まず実在庫との差を確認します。記録の入力を整えるだけでも、在庫の見通しは良くなります。データの整え方は、転記・集計作業を自動化する前に見るべきポイントも参考にしてください。

3. 計算の根拠を見せる

提案の数だけが表示されると、担当者は正しいか判断できません。どの値を使って計算したかを画面に示すと、納得して確定でき、おかしな値にも気づけます。

今回のデモでは、1日の平均出庫数は過去の記録から計算した値、リードタイムや安全在庫は商品の設定値というように、値の出どころも表示しました。

4. 計算に合わない商品は人が判断する

平均から計算する方法は、売れ行きが安定している商品に向いています。次のような商品は、式だけでは判断できません。

商品の例 人が見る理由
季節商品 過去の平均が今後に当てはまらない
販売を始めたばかり 計算に使える記録が少ない
販売を終える商品 計算どおりに発注すると在庫が残る
キャンペーン対象 一時的に出庫数が増える

こうした商品は、発注点を手で上書きできるようにしておくと安全です。

最初の一歩は、主力の商品で計算してみること

全商品を一度に管理しようとせず、まず主力の商品を5つほど選びます。

  1. 過去1か月の出庫数から、1日の平均出庫数を出す
  2. 仕入先ごとのリードタイムを確認する
  3. 発注点を計算し、今の発注の時期と比べる

表計算ソフトでも試せます。効果が見えてから、対象の商品を増やしたり、仕組みを作ったりしても遅くありません。

まとめ

発注点と発注数は、平均出庫数、リードタイム、安全在庫から計算できます。発注中の数を含めて判定し、計算の根拠を見せ、確定は人が行いましょう。判断の基準が見えるようになると、担当者が不在でも発注を続けやすくなります。

実際の動きは、在庫管理と自動発注のデモで試せます。題材は架空のサンプルで、ログイン不要で操作できます。